アスベストは長期間の曝露により健康被害を引き起こすという分析結果があります。アスベスト関連の疾患には、肺がん、メラノーマ（肺癌以外の息腔内癌）、抗原腫瘍（特にメッシュと呼ばれる小結晶の結合体によって引き起こされるもの）などがあります。世界的な健康被害に対する正確な件数分析は難しいものですが、国際的な組織や研究グループによって推定されています。例えば、世界保健機関（WHO）は、毎年約107、000人がアスベスト関連の肺がんとメラノーマで死亡すると推定しています。
また、関連疾患は、曝露から数十年後に発症することもあるため、将来的な件数も予測することができません。長期的な健康被害の分析をするためには、暴露経験がある人々の積極的な医療機関への受診が必要と言われています。そこで実施される胸部レントゲンや呼吸機能検査のデータの蓄積は、個々人の健康状況を把握するだけではなく、今後の長期的な健康被害の予測のための良質なデータとなると考えられています。アスベストによる健康被害は、適切な対策が講じられない場合に、持続的な問題となる可能性があります。
曝露を最小限に抑えるためには、建物や製品の改修、廃棄物処理など、適切な管理が求められます。そのため、アスベストを使用していた建物は改装が進められていたり、EUでは2005年以降は使用が全面的に禁止となりました。アメリカでは、州により状況がことなりますが、以前より大幅に規制が厳しくなりました。メラノーマなどの悪性腫瘍は、QOLを大幅に損なうものであるため、今後も慎重な対策が必要と考えられます。